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2015年6月22日
【会員病院の皆様へ】地域医療構想(ビジョン)について-知っておきたいポイント-
2014年6月に成立した「医療介護総合確保推進法」により、都道府県は、団塊の世代が75歳以上を迎える2025年の超高齢社会に耐え得る医療提供体制を確保するために、将来の目指すべき姿を示す「地域医療構想」を医療計画において策定することが定められました。
具体的には、構想区域(原則二次医療圏)別に、2025年時点での「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の各病床機能の必要病床数と、在宅医療等の必要量等を示すものであり、特に病床機能の再編が核となっています。各都道府県において2015年度から策定に着手し、その実現に向けての取組が開始されます。
地域医療構想は、病院の将来を左右する極めて重要な課題であり、地域医療構想の内容を十分に理解し、自院の将来の方向性を考えておく必要があります。
以下に2025年の必要病床数とその実現に向けた都道府県の対応のポイントを記載します。
1.2025年の医療需要と必要病床数の推計方法
2025年の医療需要と必要病床数の推計方法は、国の「地域医療構想策定ガイドライン」で示されています。厚生労働省がDPCデータやNDBデータを活用して構想区域ごとの基礎データを示し、これを基に都道府県が構想区域ごとに推計します。
推計は、
病床機能(高度急性期・急性期・回復期・慢性期)ごとの入院する確率(入院受療率)から2025年の患者数の推計を行い、病床機能ごとに定められた稼働率(*)で割り戻して必要病床数を算出します。(下記図参照)
なお、「高度急性期から回復期」と「慢性期」では考え方が異なっています。
●高度急性期・急性期・回復期の入院受療率(
構想区域・病床機能ごとに算定)の算定方法
2013年度性・年齢階級別の年間入院患者延べ数(人)÷365日=1日当たり入院患者延べ数
1日当たり入院患者延べ数(人)÷性・年齢階級別の人口=
入院受療率
●高度急性期・急性期・回復期それぞれの医療需要(必要病床数)の推計方法
構想区域の2025年必要病床数=当該構想区域の2013年度性・年齢階級別入院受療率×当該構想区域の2025年性・年齢階級別人口÷ 病床稼働率(*)
(*)高度急性期=75% 急性期=78% 回復期=90% 慢性期92%
病床機能ごとの必要病床数は、主に「医療資源投入量」をベースに推計されます。「医療資源投入量」は、「入院基本料相当分」と「リハビリテーション料の一部」を除外した患者1日当たりの出来高点数を意味します。それぞれの病床機能の境界を当該出来高点数で下記の通り区分しています。
【高度急性期】
- ・医療資源投入量が3,000点以上の患者
- ※回復期リハビリテーション病棟入院料を算定する患者は除く
【急性期】
- ・医療資源投入量が600点以上3,000点未満の入院患者
- ・医療資源投入量が175点以上600点未満であるが、早期リハビリテーション加算を算定しており、リハビリテーション料を加えた医療資源投入量が600点以上の入院患者
- ※回復期リハビリテーション病棟入院料を算定する患者は除く
【回復期】
- ・医療資源投入量が225点以上600点未満の入院患者
- ・医療資源投入量が175点未満であるが、リハビリテーションを受けており、リハビリテーション料を加えた医療資源投入量が225点以上の入院患者
- ・回復期リハビリテーション病棟入院料を算定する患者
- ・在宅復帰に向けて調整を要する「医療資源投入量175点以上225点未満」の入院患者
下記の「慢性期」と「在宅医療等」は一体として医療需要が推計されます。在宅医療体制の整備が進めば、療養病床から在宅療養へ移行できる患者が一定見込まれることや、慢性期医療の入院受療率の格差を縮小することがねらいです。
【慢性期】
- ・「療養病棟入院基本料、療養病棟特別入院基本料、有床診療所療養病床入院基本料、有床診療所療養病床特別入院基本料を算定する患者から、医療区分1の患者の70%相当を除外した患者数(★)
- ・障害者施設等入院基本料、特殊疾患病棟入院基本料、特殊疾患入院医療管理料を算定する入院患者数
【在宅医療等】